22.夜景

 

「ディプロマットホテル」は立地が良いせいか地球の歩き方を見た日本人が結構泊まっているようだ。今日はホテルで出会った中日新聞のカメラマン、中沢さんとグリニッジビレッジ、ワシントンスクエア界隈へ行った。彼は30代前半、1週間の休暇を利用してジャズを聴きに来たのだそうだ。ニューヨークが好きで何度か来ているとのことで、特にグリニッジビレッジ界隈がお気に入りのようだ。芸術家や若者が多く住み、アトリエ、雑貨屋、古本屋、有名なジャズバーなどが集まるこのエリアは独特の雰囲気がある。

 

中沢さんは歩きながらいろいろなことを教えてくれた。壁の落書きを指さして、これはものすごく有名なものだから是非写真をとったほうがいいと言って、シャッターを押してくれたりもした。街のいたるところに似たような落書きがある。何で落書きを消さないんだろう・・・と僕はつい、つぶやいてしまった。「これは芸術だよ」「わからないかな~・・・」と、中沢さんは、少し悲しそうに言った。でも、落書きの美しさは、やはり分からなかった。

中沢さんごめんなさい。

 

グリニッジビレッジからリトルイタリー、チャイナタウンを回った後、有名なニューヨークの夜景を見ようとロックフェラーセンターのRCAビルへ行った。時間は夕方6時頃。辺りはすでに真っ暗だった。展望台から見下ろした景色は、RCAビルをライトアップする真っ白な光に照らされて昼間のように明るい。その中に様々な色の明かりが輝き、まさに宝石箱のような光景だ。ここからの夜景がニューヨークで1番美しいといわれる理由は、エンパイアステートビルとツインタワーが同時に見えるからだそうだ。この夜景は今まで見た中で最も美しい景色の一つだった。