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’80s アメリカの旅6

⒌ヤオハン決死隊

 

ホテル加宝のリビングに座って5~6人で話していたときのことだ。「1830分か、どうする?」とヤナギさんが言った。「じゃんけん?」「前回負けたもんは除いてくれんか。わし、この前命がけで行ったんやで」「毎回が勝負だよ。新しい参加者もいるし」「じゃあ、今日は負けた2人が行こうか」ということでじゃんけんが始まった。19時過ぎるとヤオハンの弁当が半額になる。そこで、彼らはこうして決死隊を組んでヤオハンに買い出しに行くのである。

 

当初どちらかというと和やかに感じたこの界隈は、実はあまり治安のよくないエリアであることがだんだんわかってきた。リトルトーキョーだけは安全だとのことだが、そもそもリトルトーキョー自体がスラムに囲まれているというひどい立地だ。こちらに来てから、街を歩いていた知り合いが突然背後から撃たれただとか、わずか一ブロック歩く間に女性が2度襲われた、といった恐ろしい話をいくつも聞かされた。車に乗ってるときさえ安心できない。ダウンタウンでは、深夜は赤信号でも決して停車してはならないと言われたりもした。

 

というわけで、夜暗くなってからこの辺を歩き回るには、それなりの覚悟を要する。しかし日本食の誘惑には抗いがたく、ついつい決死隊を組んでまでもヤオハンに通ってしまうのである。幸い買い出しの途中で不幸な目にあった人はまだいないようだ。

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