· 

’80s アメリカの旅12

⒒LAデポ

 

出発前は危険なエリアを夜歩くと思うと緊張したが、バス停からの距離も思ったほど遠くなく、あっけなくデポについた。時間は6時過ぎだった。グレーハウンドのターミナルはこちらではデポと呼ばれている。ロサンゼルスのデポはニューヨークと並び最大級の規模だ。多くのバス乗り場があり、たくさんの人が待合室で待っていた。

 

日本で購入したアメリパスをカウンターに渡してサンフランシスコまでの乗車券を発行してもらった。アメリパスは外国人向けの期間内乗り放題の周遊券で使用開始から1カ月間有効だ。アメリカ全土とカナダの一部で使用可能だ。このパスをカウンターで見せて乗車券を発行してもらう仕組みになっている。

 

チケット発行時に窓口で“インシュアランスはどうするか?”と聞かれた。はて、どこかで聞いたことがある言葉だが何だっけ?僕はその言葉の意味が分からずしばしのやりとりになった。窓口の人は何度か言い換えながら説明してくれた。アメリカに来て2週間、僕の英語はいまだに“保険”という単語さえ分からないレベルだった。保険は8ドル95セントだった。

 

ロサンゼルスのデポは規模も最大級だが治安の悪さも最高レベルのようで、この時も銃を持ったガードマンが待合所周辺をガードしていた。待合所はデポの中にある柵で囲まれたエリアで周辺の天井に防犯用監視カメラがいくつか設置されている。ここには乗車券を持っている者しか入れないので一応安全地帯といえる。

 

待合所の椅子に座っていると、柵の外で、ヒスパニック系だろうか、汚い身なりの男が監視カメラの真下の床に横になろうとしていた。何度か体の位置を少しずつずらしながら寝そべった。どうやらいくつかある監視カメラの死角を探して寝るつもりのようだ。暖房が利いて暖かく安全な24時間オープンのデポはダウンタウンのホームレスにとって格好の避難所であるようだ。

 

当然ながらその男はほどなく現れたガードマンに連れ去られた。

↓応援クリック、ありがとうございます

にほんブログ村 酒ブログ いろいろなお酒へ